少し古い話になりますので、ご存知の方もいらっしゃる
と思いますが、最近、ある書籍を通して知った、
興味深いデータがあります。
それはデータの出所は米科学誌Scienceに発表された論文。
米ハーバード大学の研究者らが、iPhoneアプリを使い、
「今何をしているか」「どのくらい幸福か」
「現在している行為だけについて考えているか、
楽しいことやつまらないことなど別のことを考えているか」
などをリアルタイムで報告してもらい、2250人分のデータを集めた
といいます。
「何をしているとき幸福か」
これはベスト3が発表されていて、
3位が「おしゃべり」、2位が「気持ちよく運動をしているとき」、
そして1位は「SEX」だったそうです(笑)。
やや、下世話な話かもしれませんが、
私がここから読み取るのは、どれも人間の本能に根差して
いるということです。
SEXは、子孫繁栄のために再重要なことですし、
おしゃべりは、コミュニケーションや自己承認の欲求を満たすもの。
そして、運動──。
重要なのは、「気持ちよく」という部分。
あまりにハードすぎると、苦行になってしまう。
この研究のミソは、人が何かをしている間、
その時間の半分近くを別のことを考えたり、
他のことを始めてみたりと絶えず気が散っており、
その「さまよう心」のせいで幸せを十分に感じられないという部分。
裏返せば、集中している状態、あるいは集中しやすいことに
人間は幸福を感じやすいということですね。
その意味で、ゆるジョグやちょうどいいペースのランニングは、
まさに集中に向いています。
走りはじめは、それこそさまざまなことを考えますが、
距離が進むにつれ、だんだんと思考はシンプルになり、
自分の身体の調子や、周囲の風景などに集中するように
なります。
一種の瞑想状態というと大げさですが、
さまざまな雑念がふり払われ、
意識を集中して一人の貴重な時間が過ごせることは
私の経験からも断言できます。
本書で白戸さんが勧める通り、「内省の時間」に
うってつけなのです。
ここでは「気持ちよく運動しているとき」を
「気持ちよく走っているとき」と、やや拡大解釈して
いますが、ほぼ同義ですよね。
走る以外にも、水泳とか、登山とか、自転車とか、
いろいろ入ってくると思います。
エンデュランス系を並べましたが、
球技もそうでしょうね。
走ることと幸福、やはりその距離は近い!
というお話でした。