「走る」という行為は、日常的に走っていない人にとっては
想像以上にハードルの高い行為のようです。
この本を手に取っていただいても、
「なになに、走らなきゃダメなの?」なんて
そっと本棚に戻されれると、悲しい!
えー、あらためまして…。
本書は、「走らなければダメですよ」とか、
「走らない人間は読んでも意味がありませんよ」という
内容ではありません。
もちろん、走ることを推奨していますし、
その効果を多角的に論じています。
石田さん、白戸さんの経験談も豊富に掲載しています。
でも、重要なのは、
日常的に次々に襲ってくるさまざまな問題やトラブル、
先行き不透明な時代の閉塞感や不安感、
そうした心身を蝕むストレスへの耐性を作ること。
まさに心身ともに「挫けない力」を身につけることです。
その方法は、人それぞれだと思います。
本書では、エンデュランス系の運動をツールとして
お勧めしています。
ですから、水泳でもいいですし、山登りでもいい。
さらに、散歩などのウォーキングでもいいんですね。
そこで効果を実感できれば、では次に走ってみようか、
走ると意外に楽しいから、大会に出てみようか…
そうなれば、走ることがいつの間にか習慣化しているはず。
人間、つらいことはなかなか継続できません。
行動科学でも、ターゲットにした行動をいかに
楽しむか、が重要だといいます。
「走るなんて冗談じゃない、仕事だけでへとへとだ。
毎日酒でストレス発散しているし、走る必要なんてない」
それも一つの考え方ですし、ライフスタイルなのでまったく
否定はしませんし、できません。
かく言う私も、走る以前はそんな感じでしたし…。
ただ、思うのは、ストレスが多くてつらいときこそ、
日常のよい習慣が効くということ。
普通に考えれば、お酒を飲み過ぎれば二日酔いで
仕事に悪影響…するとまたストレスでお酒…。
肝臓がかわいそうです。
また、人間は、誰しも今より善くありたいと願うもの。
かといって、より善くあるために
「ねばならない」というのは窮屈ですよね。
「こうありたい」「こうしたい」という思いが心から
湧きあがってこそ、行動にも意味が出てくると思います。
それは「欲望」ではなく、「希望」なのだと思います。
希望の希薄な時代に、思考を「Have to」から「Want to」へ
移行する。
走ることに限らず、仕事に向かう姿勢もそうでありたい。
…と、自分にそう言い聞かせる編集Fでした(笑)。