「怒り」や「イライラ」などの負の感情は、
大きなストレスとなって、想像以上にその人にダメージを
与えるといいます。
ビジネスパーソンにとって、
ストレスマネジメントが重要な時代ですが、
社内や家庭がギスギスしてストレスがたまるばかり…ということも。
今回は、そんな、ストレスを溜めやすい人からの質問です。
【Q】
ちょっとした上司の言葉で傷つきます。こんな私でも変われますか?
【A】
★石田:もちろん、変われるでしょう。でも、どんな言葉で傷つくんだろう…。今の社会では逆に上司の方が、パワハラに敏感になって悩んでいますけどね。明らかに部下が悪くても、あまり強く怒ることも叱ることもできないと聞きますし。
■白戸:この方の場合、上司だけじゃなくて、他人に何か言われると必要以上に気にしちゃう、傷ついてしまうんじゃないですかね。人のことを気にしているよりも、まずは、自分の物事の捉え方を変えていったほうがいいんじゃないかな。
★石田:そうだと思いますね。物事を多様に捉えたり、意味づけするのは、人間の素晴らしさでもありますが、同時に人間は、頭で考えたことが体に影響を与えてしまうんです。例えば、極度の高所恐怖症の人が高い場所を想像して「怖い」と思ったら、その場所に行く前から立ちすくんでしまう。仮想の現実にさえ反応するんですね。
一方、動物は事象(今、起きていること)にしか反応しない。シマウマなどがサバンナで生きていくのに、今日は大丈夫だったけれど明日はライオンに捕食されるんじゃないか、などと心配していたら、それこそ参ってしまいます。
上司の言葉は、変えようと思っても変わらないでしょう。それよりも上司の言葉を自分がどう捉えるかを変えればいい。人は生まれつき、ある程度は性格の強さやメンタルのタフネスに多少の差はあるでしょうが、物事の捉え方(認知の仕方)一つで変われます。「自分は弱い」と思い込んではいけない。
■白戸:簡単にそう変わらないと思うなら、まずランニングするといいですよ(笑)。本当に。内省の時間を持つことで、物事のさまざまな側面が、今までは見えなかった部分が見えてくると気持ちが楽になることがあります。「認知」を変えるきっかけとしては適しています。
また、ネガティブであることは、必ずしも悪くありませんが、例えば大会などで長距離を走る時は、やはり前向きでなければやっていけない。それもまた「認知」を変えるいい機会になります。
★石田:ぜひ、ランニングを習慣化されるといいですね(笑)。それと、この方の場合、自分の認知から、一歩離れて、心を落ち着けてみることから試してみるといいでしょうね。感情が爆発しそうになったら、席を外してみる。トイレで自分の顔を鏡で見たり、ちょっとだけ街を歩いて深呼吸したり。
■白戸:冷静になって自分を客観視するのは大切なことですね。あとで頭を冷やして考えてみると、言われていることは、たいしたことなかった、なんてこともあるでしょうし。あの上司は、ちょっと言い方がきつい人なんだな、と納得できたり。
★石田:人間は、頭の中の出来事と現実の区別が明確にはつかないんです。だから、場合によってはちょっとした言葉に傷ついて、「あの人は私を憎んでいる」とか「逐一私をチェックしている」とか、ありもしない現実をこしらえてしまう。想像力が“現実”を作ってしまうこともある。これは怖いことです。そうしてその人を避けていると、相手からも避けられるようになるからです。
だから、現実の手ごたえが必要です。つまり、自分の心ではなく、行動にフォーカスすることを心がけていただければと思います。
本書にも「認知」を変えることについては、詳しく書いて
ありますが、本当に重要なことだと思います。
人間は思い込みが強く、誤解しやすいと言います。
しかも、頭で考えることは、たいがいネガティブ寄りになってしまう。
私は、先日ふと思ったのですが、
ランニングによる内省の時間と、布団に入って寝付くまでの時間、
自分と向き合うという点では、ちょっと似ているんですが、
なにが違うのか。
決定的な違いは、寝付くまでの時間はたいてい心配事ばかりが
頭の中を占めて、たまに不安で寝られなくなるということ。
ランニング中には、そんなことはありません。
意識はかなりフラットで、瞑想に近い状態です。
頭、つまり脳ばかり使っているとその暴走につき合わされやすいが、
体も使っていれば、均衡がうまく保てるということかな、
と思います。