『挫けない力』では、ランニングの効用をさまざま挙げています。
中でも、大きな効用は「内省の時間」を持てること。
「内省の時間」とは、自分と向き合う時間です。
では、具体的にどう自分と向き合うのか。
私の週末ランニングを例に考えてみます。
土曜日の夜、21時に家を出て、今回は1時間半ほど走りました。
体はもっと走りたい、という感じで快調ですが、
左ひざの辺りにやや疼痛が…。
ほぼ、100キロのダメージは抜けてきましたが、
まだ、若干残っているのを感じます。
(近所の新しい道は最近のお気に入りのランニングコースです。最近は、歩道と
自転車の道が分かれていて、親切設計)
私が週末に走る時、1時間より2時間が個人的にベストの時間
と感じています。
疲労の具合はもちろん、自分と向き合う時間として、
1時間より2時間はほしいというのも理由の一つです。
走っている時に何を考えているのか?
これは、多くのランナーが(多くの場合皮肉交じりに?)
訊かれることです。
…つまり退屈だろう、と。
マインドトークをご存知でしょうか。
自動語とも言われ、人間は心のなかで常に言葉を浮かべています。
ほぼ、無意識にさまざまな言葉が頭のなかに溢れているのです。
なんと、一日に6万から7万語もの言葉が浮かんでくると言います。
「ベルリン天使の詩」という映画がありましたが、
ここにも、マインドトークが出てきます。
主人公の天使は、人間には姿が見えませんが、
公園や図書館などで、孤独そうな人々に寄り添い、
心の声に耳を傾けます。
それは、孤独さを抱えて生きる都市生活者の口に出される
ことのない言葉。
走っている時には、自分のマインドトークをずっと聞く
ことになります。
普段は、人と会話したり、作業をしたり、
常に外界に意識が向くので、
心の言葉は、ほとんどが無意識のなかに沈んでいきます。
ちょうどいいペースで走っていると、
この無意識に沈み込みそうな言葉が、かなり輪郭がしっかり
して、質量をもつようになります。
よく、「自分と対話する」といいますが、
この「対話」とは、自らのマインドトークを意識して、
それについて、自分なりにまた考えるということなのでは
ないでしょうか。