『挫けない力』の主要テーマは、
思い通りにいかない現実に直面しても折れたりせず、
またチャレンジをするレジリエンス(復元)力を身につけること。
挫折経験の大きさにもよりますが、
本当に落ち込んでいる時には、
精神論やポジティブシンキングだけではなかなか
うまくいかないものです。
また、本当に大変な時に、ランニングなんて
やる余裕がない…という声もあると思います。
だからこそ、事態が悪くなる前や
挫けやすい状況に陥る前に、ランニングを習慣化することが
非常に重要になると思います。
ランニングを始めることのハードルの低さや、
始めるコツ、継続の仕方については、
本書に詳しく載っていますので、これから走ろうかな
と考えている方にはぜひ参考にしていただければ幸いです。
心で心はコントロールしにくい。
だから、体から心にアプローチしていく。
それも、ルーティンとして、つまり習慣化されていれば
無意識のうちに、心が整い、効果が出ているものです。
話は変わりますが、
日本の文化は、昔から型や形式を重要視してきました。
そこには理屈を超えた身体性があります。
今日、通勤電車で読んだ本の中で、釈撤宗さんという
お坊さんが書いておられた話が印象的でしたので、
概要を書きますね。
昔、大学の講師をしていた釈さんの教え子の利発な女性が
父親を亡くして落ち込んで、授業に出なくなったことがあり
ました。
ある程度の時間がたって、ようやく悲しみから回復し、
話をする機会があった。
彼女は、父親を亡くして世界が変わるくらいのショックを
受け、なにもかもが灰色で生きている実感もなかった。
でも、お坊さんが読経をしてくれたとき、
意味はわからないなりに一緒にお経を唱えていると、
ちょっとだけ、昔の感覚がよみがえってきたというのです。
お坊さんの話も、聞きましたが何も頭には入ってこず、
今ではその顔も覚えていないけれど、
お経を唱えるという身体的作業が彼女の心を救った…。
これが何を意味するかと言うと、
お経という身体性を伴った形式が、
彼女の心に、ある種の救いをもたらしたということ。
これを読んで、ランニングとお経は違うけれども、
身体性そのものという部分では非常に似ているなあということ。
さらに、型や習慣が、どれほど人間の心を救うかということ。
脳が暴走しやすい社会では、軽視されがちな身体性を取り戻す
作業として、ランニングを捉えなおすと、
その価値の違った側面も見えてくるような気がします。
ランニングブームの背景には、
自覚的ではないにしろ、多くの方がこのことに
気づいているからではないでしょうか。
体だけではなく、心の体質改善も可能なランニング。
私も、週に二日のペースは守りながら、
ルーティンとして、末永く継続していきたいと思います。