昔、石田淳さんに、「継続の極意ってなんですか?」
という質問をしたことがあります。
実際はもう少し、ひねった質問だったと思いますが、
ニュアンスはまあこんな感じで(笑)。
すると「とにかく、楽しむこと」
という趣旨の答えをいただきました。
“真理は常にシンプル”なものだといいますが、
これを聞いた時、「ああ、まあそういうものだろうな」
と感じたくらいでした。
ただ、最近、この言葉の意味を時々考え、
その奥深さを実感することがあります。
──楽しくなければ続かない。
人間は、楽しいことなら禁止されても行動に移そうとする
ものですね。
目標設定は大切です。
継続のためにも、期間を区切らなければなかなか
行動が具体化していきません。
ランニングで言えば、週に二回走るなどの
スモールゴールを設定し、数か月後のマラソン大会の
出場・完走をラストゴールとする、などなど。
ただ、目標に到達した後のモチベーションの保ち方が
大きな問題だと思います。
一度大きなゴールを切れば、大きな達成感によって
幸福感を得られます。
同時に、安心感もあり、そこで燃え尽きたようになって
しまうこともあるのではないでしょうか。
私などは、明日のジョー世代なので、
真っ白な灰になる、などという生き方には憧れますが(笑)。
有名なバーンアウト症候群というのも、
目標を達成したあとに、その後の目標を見失ったり、
あまりに苦労したせいで、もう二度とその対象に興味が
湧かなかったりするようです。
実は私も、100キロマラソンのあと、
目標を見失い、多少、そういう傾向がありました。
──もう、走らなくてもいい。
ブログもFBの更新もいつやめてもいい、わけで…。
このブログの主旨は、『挫けない力』の編集担当が、
本の理論を実践して、その効果を実証する、というもの。
その意味から言っても、もう続ける必要はないのです。
それでも、更新頻度が極端に下がったとはいえ、
私がブログの更新をやめないのは、
あるいは、週末に1時間半以上のランニングをやめないのは、
これらのことが、いつの間にか習慣化してしまったことと、
それ以上に「楽しい」からです。
ブログについては、仕事の合間に時間ができた時など、
ふと、書きたいことが見つかって書いてみたりしています。
仕事柄もあるのでしょうか、文章を書くのは昔から好きです。
(その割に下手な文章なのですが…)
また、走ることについては、先日も週末1時間半走っていたとき、
「俺は、この週末に走る習慣を、おそらく50になっても60に
なってもやめないだろうな」と考えていました。
そのくらい、週末に自分一人で散歩をするように、
いろいろ考えながら走ることが
いつの間にか好きになっていたのです。
私が100キロマラソンを完走して手に入れたかけがえのないもの、
それは完走証明書でも、話や自慢のネタでもなく、
(もちろん、それも大きな収穫ですが)
一番大きなものは、「走ることを好きになった」ことではないかと
思うのです。
走ることに伴う、健康増進やダイエット効果、
ビジネスへの相乗効果は、本当に嬉しいものですが、
ある意味で、二次的な副産物と言うと言い過ぎでしょうか。
もしも、目的がこれだけであれば、
極端な比喩ですが、目の前のニンジンを食べてしまった馬の
ように満足してしまって、もう走りません。
いや、またお腹が空けば、ニンジンをぶらさげられれば
走るのでしょう。
いや、目的は何でもいいんだと思います。
異性にもてたいとか、出世したいとか、
そういう欲は生きる上の原動力にもなります。
それと無縁の人間など、ほとんどいないでしょうし。
むしろ、重要なのは、動機はどうあれ、
その行為を継続する中で、いかにその行為そのものを
好きになるか、楽しめるか。
ラストゴールの向こう側に走り抜けていくことができるか
どうかは、ここにかかっているのではないでしょうか。
何歳になっても、「好きなこと」「楽しい」と
感じられることがある。
それほど、生きていく上で励みになることはありません。
それは、人によって、仕事であったり、ボランティアであったり、
趣味であったり…それこそ多様でしょう。
走ることは、健康である限り、何歳になってもできます。
この楽しみと共に生きていけることの幸福を
噛みしめて、そして、現在のこの健康に感謝しつつ、
今後のランニングに励もうと思っています。
それにしても、石田さんの言葉、
今更ながらにしみております!
これこそ、行動科学の奥にある、宝物のような気がします。