今回は、久々のスピンアウト対談3回目です。
唐突ですが、ビジネスにおける“勝ち”とはなんでしょう。
おそらく、その業種や職種、個人の価値観によっても
異なるものだと思います。
例えば、営業マンの場合、ノルマ達成率など、
その結果が同期のライバルより高ければ、
勝ちと考えることができるかもしれません。
あるいは、昇進や給与の多寡によっても、
学生時代の友人、社内の同期と比較して「俺は勝っている」
と思うこともできそうです。
勝つ、ということは、決して悪いことではなく、
成功と同義でもあります。
ただし、勝つことばかりに汲々としていると、
非常にストレスフルな精神状態と環境に自分を置くことになり、
結果仕事のパフォーマンスを下げることにならないでしょうか。
今回の対談では、ビジネスのフレームや価値観を突き破る
きっかけとして、ランニングがいかに有効かをお二人がお話しています。
■白戸:ランニングを始める時に、つい早く上達したいと考えがちです。心情としてはわかりますが、ケガなどの可能性もあるので、ゆっくり自分に合ったペースで徐々に練習量を増やしていけばいい。
石田さんは、ウォーキングから、フルマラソン、100キロマラソン、サハラ250キロマラソンと、短期間にすごいことを成し遂げましたが、かなり特別(笑)。それと比べて同じことをしようとしても無理、そんなの意味ないですね。
例えば、毎日15分歩くことからスタート、それを三カ月続けたら30分にする、さらに15分走ることに変える。こうした積み重ねを一、二年やれば、誰にでもフルマラソン完走の可能性はあるはずです。
コツは、「焦らない」、「丁寧にやる」、「人と比べない」。小さなところからベースを組み立てていくところから始めるのが大事。
★石田:体のトラブルがない限りは、誰でもマラソンはできるものです。虚弱体質でも大丈夫、むしろやることで体質改善も期待できますね。私の場合は確かにせっかちでしたが(笑)、誰かと比べて、ということで急いだわけではありません。
■白戸:マラソンは、プロは別として、人と比べたり、勝敗を競ったりするスポーツではないんです。むしろ、ライバルがいるとすれば昨日の自分です。過去の自分と比較しながら、少しずつ、ゆっくり伸びていけばいい。
★石田:そうですね。私も最初は、30分も走り続けることができなかった。初めて淡々と30分走れるようになった時、感動しましたから。
ガリバーインターナショナルの羽鳥兼市会長は、70代にしてユーラシア大陸1万2625キロを走破されましたが、私はすごく共鳴して尊敬しています。毎日、かなりの距離を走ることになるわけですが、とにかく今日は昨日よりもいい走りをしよう、という気持ちで走られたそうです。
■白戸:一歩でも、一秒でも長く、遠くへ、ですね。ビジネスでも同じことでしょう。人との比較ではなく、自分の成長が実感できれば、仕事自体が楽しくなってくる。こうした視点を持つようになれるのも、エンデュランス系スポーツの大きな副産物と言えますね。
「勝ち負け」「成功と失敗」は、
確かにビジネスにおいては死活問題です。
ただし、他者と比較しても、上を見ればきりがありませんし、
下を見てもきりがありません。
ランニングを通して、「勝ち負け」「成功と失敗」という
固定されたフレームを超える体験をする。
すると、肩の力やストレスが抜けて、ビジネスにおいても、
よりよいパフォーマンスが発揮できるのではないかと思います。