2006.10.01小池邦夫さん 堤江実さん 小川宏さんほか

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 絵手紙の創始者で、日本絵手紙協会会長の小池邦夫さん(右)が、奥様の恭子さん(左)と来社された。お二人とも、絵手紙の魅力を少しでも多くの人々に広めたいとの一念から、日々、講演会や展覧会、テレビ出演などを通じてその普及に努めておられる。近年、「ETEGAMI」は世界に雄飛しつつあり、フランス、中国、ルクセンブルク、オーストラリア、アメリカなどでも絵手紙交流が行なわれている。中国は別にして、欧米の方々は、和紙、墨、筆を遣って絵手紙を完成させると、東洋の神秘にいたく感動を覚えるようだ。
 わが社でも約10年前、小池邦夫さん監修で『人並みでたまるか――小池邦夫と五人の絵手紙の達人たち』を刊行し、絵手紙ファンに好評だった。
 この時、編集担当した臼井雅観君は、まだわが社へ入社して間もない頃だった。それ以前、臼井君は、小池邦夫さんの来し方を『絵手紙を創った男』(あすか書房刊)という一冊に纏め上梓したことがある。いわば絵手紙について小池さんとは師弟の関係であって、この関係が今でも続いている。こうした強力なラインで、清流出版の単行本として絵手紙の新企画が浮上した。
 今回のテーマは、小池さんの夭折された愛息・徹クンの絵手紙集を一冊にする企画だ。それも徹クンが5、6歳の頃に描いた作品1000枚の中から厳選して一冊にするもの。実際に子どもの絵には神様が宿っている。ページをめくる度、カブト虫、かえる、にわとり、ヒョウ、牛……等、見事なデフォルメと迫力あるタッチ、鮮やかな色遣いで素晴らしい作品ばかり。大袈裟でなく天才の作品という感じがする。かつて産経新聞「産経抄」の名コラムニスト・石井英夫さんが徹クンの才能を絶賛したのも頷ける。
 書名も『神様が宿る絵手紙!――徹クン、君の画に惚れたよ』に決まった。著者は小池徹、編者は小池邦夫。親子合作の単行本がここに誕生する。11月6日から東京・銀座の鳩居堂で、小池邦夫、小池徹の親子展も開催する予定である。絵手紙に興味がある方、ぜひ本を買って、展覧会にもお運び下さい。

 

 

 

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 久しぶりにわが社から絵本二冊が同時に刊行された。いずれも堤江実さん(左から2人目)が本文を執筆している。その文章は、やさしくてわかりやすく、うつくしい詩文で、お子さんと親が一緒になって音読できるようになっている。二冊とも、英文付きで、英語の分かる外国人と一緒に読んでも楽しい。二冊の絵本の装丁は西山孝司さん(右から2人目)が行ない、この日、お集りいただいた画家の出射茂さん(左)と杉田明維子さん(右)も、おのおの担当の本で最終下版を念入りに行なった。
 『水のミーシャ――地球・いのちの星』は出射茂さん、『うまれるってうれしいな』は杉田明維子さんがそれぞれ絵を担当で、版ズレや色むら、ゴミの有無まで注意深く校正された。
『水のミーシャ――地球・いのちの星』は、「地球交響曲第五番」に登場したブダペスト・クラブ会長のアーヴィン・ラズロ博士が、「日本中のすべての子どもたち、また世界中のすべての子どもたちに読まれるべきもの。そして、その子どもたちのすべての親たちにも」と、格好の推薦文を寄せてくれた。
 また、『うまれるってうれしいな』の本は、聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さんが、「今まで、いのちとか、愛とか、そして多くの若い息子達のいのちを奪った戦争の憎しみを写真と詩とで世間に訴えてきた。この詩人の心の中の叫びを、子供をもつ親に、またこれから子供を持ちたいと願う若き女性にもこの詩の本を読んでもらいたい」と、熱烈なメッセージで推薦された。
 苦手な絵本のジャンルで苦戦が予想されるが、はからずも二冊とも、わが社の刊行物に強力な援軍を得たようなもの。立派な推薦者たちの後押しを受けて、がんばって世に訴えていきたい。

 

 

 

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 堤江実さんの娘さんの堤未果さん(写真)が、単身、企画打ち合わせに来社された。つい先ごろ上梓された『報道が教えてくれない アメリカ弱者革命――なぜあの国にまだ希望があるのか』(海鳴社刊)を持参。この本は、基本的に季刊誌「ひとりから」(金住典子&原田奈翁雄編)の連載「世界中のグラウンド・ゼロ」(2004年12月・第24号?2005年12月・第28号)を大幅に加筆・修正して刊行されたものだ。未果さんはこの本で、見事に日本ジャーナリスト会議黒田清新人賞を受賞した。
 全体として、日米の架け橋で大先輩の國弘正雄さんに影響を受けたであろうことは間違いない。だが、未果さんの若い感性が迸る本書は、あとがきに「国籍や肌の色、ひざまずく神様の違いを超えて、市民の手はつながれ、同じ未来を創る仲間、ひとつの大きな祈りになる」、「私は人間の中にある[善きもの]を信じている」とお書きになっているように、若いにもかかわらず精神的にタフで、土性骨がしっかりしている。
 ここで、堤さんの経歴を簡単に紹介する。高校を出て、渡米。ニューヨーク州立大学国際関係論学科を経て、ニューヨーク州立大学院国際関係論研究科修士課程修了。国連、アムネスティインターナショナルニューヨーク支局員を経て、米国野村證券に勤務中、9.11に遭遇。帰国後は、アメリカ―東京間を行き来しながら、執筆・講演活動をしている。国際政治環境研究所の理事でもある。   
 著書には、『空飛ぶチキン―私のポジティブ留学宣言』(創現社刊)、『グラウンド・ゼロがくれた希望』(ポプラ社刊)と最初に紹介した『報道が教えてくれない アメリカ弱者革命――なぜあの国にまだ希望があるのか』(海鳴社刊)がある。
 CS朝日で、月水金の週3日間、「ニュースの深層」というニュース番組のニュースキャスターを務めることも決まったそうで、活躍の分野をますます広げている。まさに伸び盛りのジャーナリストである。20代の若者たちと団塊世代のはざ間にあって、なんとか橋渡し役をしたいとの夢をお持ちのようで、僕としてもできる限り応援していきたいと思っている。わが社から刊行したいテーマは、数々あるが、もう少し具体的に決まるまで明かさないほうがよいと思う。いずれにせよ、若いバイリンガルの著作家、ジャーナリストとして、今後が楽しみである。

 

 

 

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 9月23日、小川宏さん(中央)の『夫はうつ、妻はガン――夫婦で苦境を踏み越えて』のサイン会が紀伊國屋書店新宿本店の二階催事場で行なわれた。ちょうどお彼岸の中日である秋分の日と重なったため、はたして人が集まるかどうか心配していたが、その心配はまったくの杞憂に終わった。
 会場は老若男女合わせて、サインをもらいたい人の列が階段の上の方まで並んだ。一人で何冊も購入した方もあり、時間内に終わらないかと心配になり、小川さんにお願いして少しサインの速度を早めてもらったほどだ。小川さんは一人ひとりに声を掛けながら、なごやかな雰囲気の中でサインをし、所定の時間内にぴたりと終えた。さすがに分単位で仕事をしてきた人は違うと一人感心したものだ。
 前著の『宏です。小川です――昭和わたし史交友録』を上梓した時にも、同じ紀伊國屋書店新宿本店でサイン会を行なったが、いずれも小川さんとNHKアナウンサー時代の同僚で親しかった田邊禮一さん(紀伊國屋書店取締役相談役)の肝入りで実現したものである。
 小川さんの8歳年下という田邊さんだが、かねてより病気療養中だったと聞く。その田邊さんが、今回のサイン会直前に逝去されるところとなり、その暗合には僕も驚いた。小川さんの落胆ぶりはいかばかりだったろうとお察しする。サイン会の後、小川さんは午後6時から芝・増上寺光摂殿で行なわれたお通夜に出席された。こころからお悔やみいたします。

 

 

 

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 忙中閑、秋晴れの午後、野見山暁治さんの新作絵画展を観に出かけた。京橋の「ギャラリー山口」を会場として開催されたものだが、今回の展示作品は大ものばかり。ギャラリー山口の白川真由美さん(左)と僕が立っている絵が標準サイズ。油絵の百五十号のキャンバスが会場一杯に飾られている。あいにく野見山暁治さんはいらっしゃらなかったが、白川さんにお聞きすると、今日も夕方になるとお見えだという。お昼休みに出かけるのがわれわれビジネスマンの宿命で、くれぐれも野見山さんによろしくと言づけた。
 同行した野本博くんは、目下、鋭意、野見山さんの本を作っている最中。『美術の窓』に連載中の「アトリエ日記」をわが社から単行本として上梓するものだが、刊行のあかつきには、ギャラリー山口さんでも本の販売をしていただくようお願いした。白川さんが快諾してくれたので、気分よく会場を後にした。その後、近くの「美々卯」でうどんすきを食べながら、いい絵を観て、うまい食事をとり、よい昼だったなと気分爽快の日だった。