2006.12.01秦万里子さん 小西正捷さん 小野田町枝さんほか

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  • 作曲家の秦 万里子さん(中央)。月刊『清流』12月号の「この人に会いたくて」欄に登場された。編集担当した長沼里香が編集者の鋭い勘で、秦さんの単行本を出せば売れる、ぜひ出版したいと僕に直訴してきたので、単行本化を進めることになった。その顔合わせを兼ねた打ち合わせに、ご本人たちに会社までお越し願った。
  • 長沼は、まず編集部内に秦さんファンを作ることから始めた。秦さんが出演するスカイサロンのライブコンサートを藤木企画部長、臼井出版部長に見てもらったのである。実際に足を運んで、その面白さ、楽しさを実感してもらうことで、企画の可能性を確かめたのだ。僕はあいにく都合が悪く見に行けなかったが、地道な手続きを踏む進め方に感心した。それだけに期待も大きい。
  • 秦さんはいまや主婦感覚で、喜怒哀楽を即興的に歌にし、「NHKおはよう日本」などTVでも取り上げられている。全国的にもフィーバー直前で、知っている方も少なからずいると思う。幼少の頃、音楽史の年表に女性の作曲家がないことに憤慨し、自ら作曲の道を選んだという方だ。
  • 国立音楽大学ピアノ科に学び、卒業後、ボストンに留学し、ジャズを学ぶ。帰国後、育児に専念、その間、子どもの曲がどんどんたまり、作曲作業を再開したという。主婦感覚の歌を持ち歌に、作曲して、弾いて、歌って、しゃべっての多芸多才ぶり。コンサート会場は、爆笑の渦とともに盛り上がっているようだ。
  • 秦さんは、「日常生活に忙しい主婦」「子育て真っ只中のママ」「子育て卒業の母親」「ミドルエイジの夫婦」「時間に余裕ができたシニア層」がターゲットというから、コンサートには女性の生活実感、主婦の本音、家庭の喜怒哀楽……が満ち満ちている。
  • こういうコンセプトを秦さんと作り、側面からマネージしているのは「NYパワーハウス」社の代表者・中村裕子さん(右)である。今日は社員の中川ひろこさん(左)も連れて来られた。中村さんは、5年前、長年住んでいたニューヨークから帰国した後、秦さんの素晴らしいパワーを広く世の中の人たちに知ってほしいと会社を設立、応援を続けている。
  • 来春、秦さんのCD発売も考えているというが、わが社の単行本とどちらの方が先かで、議論が大いに盛り上がった。
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  • ある日の午後、銀座の鳩居堂で開催中の絵手紙の創始者・小池邦夫墨絵個展を見に行き、しばし素晴らしい墨絵の世界(写真)に浸った。
  • つい最近、わが社から『神様が宿る絵手紙!――徹クン、君の画に惚れたよ』(小池徹・小池邦夫編)を刊行したばかり。その本の売れ行きも心配だったが、巷間囁かれる絵手紙ブームの実態を知りたい気持ちもあった。現代日本の人たちがどのような興味を示しているのか。銀座のど真ん中で行われた、小池邦夫さんの個展は、その意味で格好のイベントであった。お昼時だったが、会場は中年女性が多数詰め掛けて、熱気に溢れていた。
  • 会場の一角に、小池徹くんの絵手紙コーナー(注1)も設けられ、わが社の本にも収録した絵手紙の実物が鑑賞できるようになっていた。その徹さんは、昨年、35歳という若さで癌に侵され鬼籍に入られた。本当に惜しい人を亡くした。わが子に先立たれる悲しみ、小池邦夫さんの胸中は察するに余りある。
  • 小池邦夫さんは、当日、会場の隅の小部屋で素晴らしい書を見せてくれた。「米山」の書である。小池さんと同じ松山出身の三輪田米山という書家にして神官である。型破りともいえる自由な筆と気宇壮大な字が、見る者の度肝を抜く。米山については、静かなブームになりつつあるというが、小池さんの入れ込みぶりも凄い。僕も直感的に、これは企画になるはずという想いがした。この日、お昼ご飯を銀座で食べたが、米山の書がチラチラして気持ちも高ぶり、ことの外食事も美味に感じられた。
  • (注1)

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    小池徹君56歳の頃の絵手紙(右上は死の前年の写真)

     

     

     

     

     

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  • 立教大学名誉教授の小西正捷さん(前列右)と写真家の沖守弘さん(前列左)。小西さんと沖さんは、かつて『インド・大地の民俗画』(未来社刊)を共著で出した間柄。インドの伝統文化をヴィジュアルに紹介する優れた企画である。主に、学術的な説明文を小西さん、写真を沖さんが受け持ち、7