内容紹介
父の影響からか9歳にして骨董品に興味をもち、10歳で手回し轆轤を買ってもらったという辻清明。14歳にしてはや「辻陶器研究所」の看板を掲げ、陶芸家への道を歩み始めた。独立独行精神で孤高を貫き、不世出の陶芸家として知られる辻清明を集大成したもの。花器、香炉、茶碗、徳利などから、清明の代表的な信楽焼きの陶器類はもちろん、彼の焼いたガラス器、残した書画、そして内外からの貴重な蒐集品や創造の現場まで、辻清明という陶芸家の全貌に迫る。
写真はすべて、あの藤森武氏が撮っている。辻清明ご本人から依頼されたものだという。膨大な作品数がある。世界各地から蒐集したコレクションも多い。一から手作りした創造空間としての茶室や庭も押さえている。当然ながら、お互いのスケジュール調整をしながら何年もかけて、聖蹟桜ヶ丘の辻清明の工房に通いつめて撮り溜めたものだ。藤森氏がこの本にかけた時間と労力は膨大である。かくして、焼物一つひとつの完成度、それを定着させたカメラマン藤森武氏、さらには田中一光の弟子であり、豪華本を数多く手がけ、辻清明本も手がけた実績をもつ坪内祝義氏がデザインした。これで素晴らしい本にならないわけがない。是非、手にして堪能して欲しいと思っている。
目次
独歩の人 辻清明 てのひらとゆびの 辻清明の陶器 辻さんの作品 辻清明年譜